しき「春」

作:かにみそ大将軍
男「春は別れの季節だ」
女「春は出会いの季節だ」
男「だから俺は、春が嫌いだ」
女「だから私は、春が大好きだ」
男女「桜の舞う季節に君に出会った」
女「こんなところで何をしてるの?」
男「えっと…特に何も?」
女「なにそれ(笑)」
男 よく笑う人だった。その笑顔が眩しくて僕は君に惹かれた。
女 よくわからない人だった。だからかな。もっと知りたくなった。
男 自然と惹かれあった俺達は
女 次第に過ごす時間が重なっていった
男「今見た映画感動したね!ラストにあのシーン持ってくるって思ってた!」
女「ほんとそれ!私も絶対そうだと思ってた!」
男 似ているところもあれば
男「普通はブラックだろ?コーヒーを甘くするなんてコーヒーへの冒涜だ」
女「いーや!コーヒーは甘くするものよ!美味しく飲むのがコーヒーへの礼儀ってものよ!」
女 違うところもたくさんあった。
男 だから余計に惹かれあっていった。
女 お互いを求めあっていった
男「嘘だろ」
女「本当よ」
男 絶望だった。目の前の景色から色がなくなった。
女 希望はなかったが後悔もなかった。
男「あと一年、俺に何ができる…」
女「何もしなくていい。ただ一緒にいてくれればいい」
男「春は別れの季節だ」
女「春は出会いの季節だ」
男「だから俺は、春が嫌いだ」
女「だから私は、春が大好きだ」
END