しき「秋」

作:かにみそ大将軍
女「ねえ。これも食べて」
男「なんだよ。お前、全然食べてないじゃないか」
女「だって、食欲ないんだもん」
男「食うもん食わないと…ごめん」
女「いいよ…。ねぇ…」
男「なんだ?」
女「秋らしいことしたいな」
男「いいよ。秋らしい事か…いきなり言われても思いつかないな」
女「読書の秋 芸術の秋 スポーツの秋 食欲の秋」
男「わかった。全部やろう」
女「え?」
男「どれが秋らしいかわからないし、それに…」
女「それに」
男「後悔したくないから…」
女「そうだね(笑)」
男 望みを全部叶えてあげたい。素直にそう思った。
君と過ごす時間には、限りがあるから…
男「それじゃあ行こうか」
女「どこに行くの?」
男「とりあえず美術館に行って本屋とスーパー寄って帰ってくる」
女「スポーツは?」
男「歩いていく」
女「なるほどね(笑)」
女 君の優しさに甘えてしまっている自分が嫌になる。
甘えれば甘えるほど、君との別れが辛くなるだけなのに…
男「ただいまっと」
女「結構疲れたね」
男「いっぱい買い過ぎた(笑)」
女「こんなに食べきれないよ(笑)」
男「何はともあれ、まずはこれ」
女「さつまいも?焼き芋でも作るの?」
男「秋と言ったら焼き芋だろ?トースターで作れるんだぜ」
女「嘘!本当に⁉自分で作るのは落葉で焼くしかないと思ってた!」
男「もっと色々方法あるみたいだよ(笑)」
女「どれが一番おいしいか試そう!」
男「そうだね(笑)」
男 例え別れが来ると分かっていても、傍にいると決めた。
女 辛いと分かっていても、君への想いは止めることはできない。だからずっと笑っていようと決めた。
男女 最後のその一瞬まで...
END