優しいワルツを


配信アプリ:Spoon

企画名:ORIGINAL

歌手:真田嶺 (https://twitter.com/rsanada0903)

上記企画にて真田様の曲「優しいワルツを」を元に作成した台本になります 

作:かにひな制作所


≪登場人物≫

真嶋 優理(まじま ゆうり) 二十二歳 ウェブデザイン会社勤務。 クールな見た目だが惚れっぽい。雑な部分が多く、見た目とのギャップで振られることが多い。 幼馴染の祐によく恋愛相談している。

糸畑 祐(いとはた たすく) 二十二歳 飲食会社総務勤務。 楽観的な言動をとりがちだが実は理知的。高校の時から優理に好意を寄せている。

≪設定≫

小学校三年生の時に、祐が優理の家の隣に引っ越してきた。そこから幼馴染として過ごす。 優理は、都会から引っ越してきた祐に憧れて兄のように慕う。このころから惚れっぽい性格となる。 祐は引っ越しの不安の中、明るく接してくる優理に心を救われる。優理のために頼れる兄を演じるようになる。 中学二年生の時初めて優理から恋愛相談をされる。祐のアドバイスで見事優理は付き合うことができた。 だが、付き合いは三ヶ月で終了してしまう。原因の一部は優理の性格と祐の存在である。 高校は別々。高校一年の時それまで相談していた優理から突然、今後は相談しないと告げられる。 祐自身、最初は受け入れたが、優理のいない生活に寂しさを感じそれが恋愛感情だと気が付く。 優理は当時付き合っていた彼氏(林和彦)に束縛を受けており、彼氏以外の男との連絡を制限されていた。 偶然街中で優理をみつけて声をかけるが、そっけない態度をとられる。 彼氏とのデート中で他の男性と喋ることまで制限されていた優理は祐に助けを求める。 彼氏を殴り飛ばして無事優理を救うことができた祐。その場で告白しようと思うが傷ついた優理を前に何も言えずに いた。そのまま、大学・就職となり現在に至る。

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【場面】祐の会社 昼休み

祐「お?優理からだ」 

優理(祐。今日の夜いつもの店に集合)

祐「また振られたんだ...ったくしょうがないなぁ」

 「課長、さっきの飲みの誘いなんですけど、すいません。急遽用事が入っちゃいました」 

 「違いますって(笑)彼女なんかじゃないっすよ。はい、また今度是非。あっそれと...」


【場面】居酒屋 

優理「あっ祐。こっちこっち」

祐「おー。お疲れ。とりあえず...」

優理「(前のセリフに被せるように)ビール、枝豆、刺し盛。もう頼んでおいたよ」

祐「ありがとう。今日はどうした?やけに気前がいいなぁ」

優理「今日は何日でしょうか?」

祐「え?確か今日は二十日...あぁなるほどね」

優理「当たり。今日は給料日だから、私の財布が強いのよ」

祐「強いってなんだよ(笑)でも、入った傍から使ってると後で大変な目に合うよ?」

優理「いいのよ。もう使う相手もいなくなったし、それに使いたい気分なのよ」

祐「(ビール飲む)...で、今回は何が原因で振られたの?」

優理「いつもと一緒。『君がこんな性格だなんて思わなかった』ってさ。笑っちゃうよね...」(元カレの言い方をマ ネするように) 

祐「優理は顔がいいのに性格は大雑把だからな(笑)」

優理「ちゃんと部屋、片付けたのになぁ」

祐「本当に?」

優理「本当よ」

祐「...床に物置いてない?」 

優理「...こし」

祐「んー?はっきり言ってごらん?」

優理「す...少しだけ...置いてあり...ます」

祐「本当に少し?」

優理「少し...だと思う...」

祐「...(ため息)嘘だな」 

優理「う...そじゃ...ない...です」

祐「俺の目を見て嘘じゃないって言える?」

優理「う...そ...です」

祐「知ってる(笑)優理、嘘つくとき目が泳ぐからな(笑)」

優理「で、でも、少しくらい汚くても良くない?」

祐「あのな、何度も言ってるけど、優理の『少し』は世間の『少し』とずれてるんだよ」

優理「ちゃんと歩ける所あるのよ?玄関からベッドまで。それと...」 

祐「優理、またゴミため込んでるのか...」

優理「い、忙しくて!...片づける時間がないのよ」

祐「仮にも彼氏を家に呼ぶなら、綺麗にするだろ普通...」

優理「...違うもん」

祐「言い訳を一応聞いてやろう...っとその前に、すいません。フォアローゼスシングルロックで。それで?」

優理「...急に家に行きたいって言ってきたのよ。だから...その...片付けられなくて。で、でも」

祐「でも?」

優理「ちゃんと断ったのよ。今散らかってて汚いって...」

祐「まぁ彼氏が思ってる『散らかってる』のレベルを遥かに凌駕しちゃったわけだな」

優理「そしたら。振られちゃった...」

祐「ま、まぁ当然の結果と言えば当然だけどな(笑)」

優理「でもさ、その時だけ取り繕っても、結局はバレるでしょ?」

祐「(ため息)続ける努力をするって事は選択肢にないのかよ」

優理「そんなの、いつか無理がきて疲れちゃうよ」

祐「でもさ、少しずつ自分を出していくってのも、一つの手だと思うよ」

優理「えー。めんどくさい」

祐「そういうところだぞ」

優理「...少しずつってどのくらい?」

祐「少しずつは、少しずつだよ」

優理「私の少しは世間の少しと違うからわかりませーん」

祐「なんだよ(笑)根に持ってるのかよ」

優理「持っていませーん(笑)」 

祐「...なぁ優理?」

優理「ん?なに?」

祐「俺と付き合うってのはどう?俺だったらお前の事分かってるから、取り繕う必要もないぞ」

優理「私が?祐と?...あはは、冗談やめてよ(笑)振られた私を慰めようとしてるの?祐の事はお兄ちゃんみた いに思ってるし、恋愛感情とか無いし、それに、こういう風に飲んで話してる位が心地いいの」

祐「優理...実は...」

優理「祐?どうしたの?急に真面目な顔して」

祐「実は...俺もなんだ(笑)。お前とこうやって飲んで話してるのが楽しくて丁度良い(笑)」

優理「あはは。でしょでしょ?。真面目な顔してるからビックリしたじゃん」 

祐「あはは。どうだ?元気出たか?」

優理「出た出た(笑)あー笑った。祐、明日仕事は?」

祐「どうせ飲み明かすと思ったから休み出してきた(笑)」

優理「さすがわかってる。あ、ごめん。ちょっとトイレに行ってくる」

祐「分かった。飲み物頼む?ピーチフィズでいいか?」 

優理「うん。ありがとう」

祐「(ため息)...っん(ウイスキーを一気に飲む)。流石に効くな...」

 優理「ただいま~。お?どしたの?」

祐「おかえり。いや、ウイスキー美味しいなってしみじみと思ってた」

優理「フォアローゼスだっけ?」

祐「そう。優理も飲む?」

優理「そんな度数が高いのなんか飲めないよ(笑)ずっとそれ飲んでるよね?なんで?」

祐「それはな...」

優理「それは?」

祐「名前がかっこいいからだ!」

優理「ぷっ。なにそれ?(笑)」

祐「名前がかっこいいと、頼むときかっこいいんだよ?」

優理「それだけのために飲んでるの?(笑)」

祐「そうだよ(笑)それより優理も飲め飲め。今日はとことん飲むぞー」

優理「お?急にエンジンかかってきたな(笑)よーし飲むぞー」


 【場面】優理の家への帰り道 

優理「あんの馬鹿主任...無理難題仕事振ってきてぇ~」

祐「そうだそうだ主任は馬鹿だ。そんな主任を優理さんはどうしたいですか?」

優理「あの主任を...こうしてこうして...こうだ!」(パンチ、キックをするように) 88.  祐「あはは。なかなかやるなぁ。逆にこうしてこうするのは...」

優理「あはは。それいい(笑)。...おっとと」

祐「あれあれ?優理さん。足がふらついてますね。もう流石に限界なんじゃないですか?(笑)」

優理「馬鹿を言っちゃいけませんよ祐君。まだまだいけるに決まってるじゃないですかぁ」

祐「それじゃあ続きは優理さんの部屋で飲みますかぁ」

優理「そうだ。祐君に言わなきゃいけないことがあった」

祐「何でしょうか?」 

優理「お部屋が、ちょ~っと散らかってるけど気にしないでね」

祐「はいはい(笑)知ってますよ」


 【場面】かなり散らかった優理の部屋 

祐「優理さん...これが『ちょ~っと散らかっている』ですか?」

優理「これでも片付けたんですぅ」

祐「はぁ。まぁ分かってたからいいよ」 

優理「そんなことより、飲みの続きをしましょーう」

祐「はいはい。優理、とりあえずこれ飲んでみて」

優理「ん?...んっ。なにこれ?味しなーい?お水ぅ?」

祐「あれ?少し甘いお酒なんだけど、味しない?」

優理「...っん。そう言われれば...少し甘いかも!」

祐「じゃあ優理はこれでいいな?」

優理「うん、なんていうお酒なの?」

祐「ロゥっていうんだけど聞いたことない?」

優理「聞いたことあるようなないような...まいっか。」 

優理「それでね、今度の仕事がね」

祐「へぇ~。大変そうだね。そういえば俺もこの間...」 

優理「それはむかつき案件だね~。それでその後どうしたの?」

祐「その後は普通に...」

優理「フォアローゼスシングルロックで」

祐「もしかして俺の真似?」

優理「もしかしなくても祐の真似」 

祐「頼んでみてどうだった?」

優理「かっこよかった(笑)」

祐「だろ?」

 二人の笑い声


祐「優理?...寝たか。とりあえずベッドまで運ぶか。よいしょ...と」 

 「しかし足の踏み場が...。っと。」

優理「う~ん。祐?」

祐「ん?どうした優理?」

優理「いつもありがとうね...」

祐「...どういたしまして」

優理「(寝息)」 

祐「ったく。こっちの気も知らないで...」


 【場面】朝 優理の部屋 

優理「う、う~ん」

祐「お?起きた?」

優理「おはよう。あれ?」

祐「どうした?」

優理「...あんなに飲んだのに...頭痛くない」

祐「そりゃ、あんだけ水飲んでれば、二日酔いにはなりにくいだろ」

優理「待って...祐が私に飲ませてたのって...」

祐「水だよ(笑)少し甘―いって言って飲んでたな」

優理「ロゥって...」

祐「フランス語で水」

優理「...また騙された。っていうかここ何処?」

祐「まだ酔ってるのか?優理の部屋だけど」

優理「...私の部屋こんなに広くない」

祐「片づけたんだよ(笑)大変だったんだぞ?」

優理「そっか...ありがとう。その...変なもの...なかった?」

祐「変なもの?...ゴミ袋とか、洗ってない洋服とか、あとは...」

優理「も、もういい。わかった。わかったから」

祐「あはは。それじゃあ朝飯にするか。食べるだろ?」

優理「...うん。ありがとう」


 【場面】朝食後のコーヒータイム 

祐「それで、今日はどうする?」

優理「...とりあえず買い物いきたいな」 

祐「荷物持ちはいるか?」

優理「う~ん。色々やってもらってそこまでしてもらうのも...」

祐「今更遠慮なんかするなって(笑)俺と優理の仲だろ?」

優理「それもそうね(笑)じゃあお願い」

祐「畏まりました。お嬢様」

優理「あはは。全然似合わない(笑)」 

祐「お嬢様。おコーヒーが入りました」

優理「やめてやめて(笑)」

二人の笑い声 


【場面】商業施設の真ん中の広場になっているところ

祐「優理、遅いな...ここに居てって言われてから結構経つんだけど...」

 「あれ?誰と話してんだろ...会社の人かな?」

優理「遅くなってごめんね」

祐「いいよ。それじゃあ帰るか」

優理「...うん」

祐「?」


 【場面】商業施設から優理の家までの帰り道(河川敷) 

祐「優理?聞いてる?」

優理「え?あっごめん?なんだっけ?」

祐「さっきから様子変だけど、どうした?」

優理「...」

祐「さっき話してた人の事?」

優理「っ‼見てたの?」

祐「偶然見かけただけだけど...会社の人か何かじゃないの?」

優理「あの人ね...林君だった」

祐「林君?」

優理「林...和彦君」

祐「林 和彦ってあの束縛野郎⁉」

優理「うん」 

祐「それで、何か言ってきたの⁉」

優理「うん。今度会って話がしたいって...」

祐「今更...っまさか...会う約束したの...?」

優理「...うん」

祐「行っちゃだめだ!」

優理「...でも」

祐「お前、あんなにボロボロだったの、忘れたのか⁉」

優理「そうだけど...今回は違う。すごい真剣だった。もう二人とも大人だし...」

祐「俺も行く」

優理「え?」

祐「一緒についていくから、場所を教えて」

優理「...来週の水曜日。十時。...佐野川公園」

祐「わかった」

優理「...あのさ」

祐「?」

優理「一つだけ、約束してほしいことがあるの...その...あの時みたいに...」

祐「大丈夫。手は出さないから」

優理「...うん。...それじゃあ今日はここで」

祐「...あぁ。それじゃあまたな」

【場面】10時 佐野川公園(小規模 遊具は滑り台と鉄棒のみ あとベンチ2つ)

祐「おかしいな。誰もいない」 

【フラッシュバック】

祐「一緒についていくから、場所を教えて」

優理「...来週の水曜日。十時。...佐野川公園

祐「‼まさかっ‼」 

【祐 走る】 

祐「はぁはぁ(息切れ)」

 祐M「なんであの時気が付かなかったんだ!優理の目泳いでたのに‼」

祐「はぁはぁ...やっと見つけた」

優理「(泣)祐...」

祐「はぁ...はぁ...」

優理「あの...祐。ごめん」

祐「はぁはぁ...大丈夫だった?」

優理「...うん」

祐「本当?」

優理「...本当」

祐「泣いてるじゃん」

優理「これは...」

祐「優理。俺はお前を守りたい!辛い時や悲しい時はそばにいたい!」

優理「...え?」

祐「...俺はお前が好きだ」

優理「...嘘」

祐「だから、本当の事話して」

優理「あのね...林君が謝ってくれたの」

祐「...」

優理「あの時はごめんって」

祐「...」

優理「林君なりに大切にしてくれてたんだけど、私から笑顔がなくなっていくのを見て、焦ったんだって」

 祐「そっか...」

優理「それでずっと謝りたいって思ってたら、偶然、見かけて声をかけてくれたみたい」

祐「そうだったんだ...なんかかっこわるいな...俺はやとちりして...」

優理「それでね。もしよかったらやり直したいって言われた」 

祐「え?それで...やり直すの?」 

優理「今まで私。祐にずっと頼ってた。恋愛のことも、全部祐に相談して...知らない間に傷つけちゃってたんだ よね」

祐「優理...」 

優理「ごめんなさい(泣)。私、自分のことばっかりで、祐の事何も考えてなかった」 

祐「いやそんなことは...」 

優理「でも、これでもうお終い」 

祐「...そっか」 

優理「さっき林君に告白されて、祐に相談しなきゃって思ったの。それで気が付いたんだ。いつも祐がそばにい てくれてるなって」 

祐「...」 

優理「私のことを何でも受け止めてくれて、いつも笑わせてくれる祐のことが...好き」 

祐「えっ...」 

優理「ねぇ...私のわがまま...聞いてくれる?」 

祐「...うん」 

優理「...もう一回好きって言って?」 

祐「...そんなの...いくらでも言うよ」

 「俺は優理が好きだ!」


優理「ねぇ祐」

祐「何?」

優理「私は、祐に何かしてあげられるのかな?」

祐「簡単だよ。手を出して」

優理「こう?あっ...」

祐「こうやってただ手を繋いで、隣にいてくれるだけで俺は十分幸せだよ」 

 END 

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