全部、夏のせいだ①
原作:かにみそ大将軍
脚本:ひなた
A:男 B:女
場面【学校のグランド脇のベンチ】
A「あっち~。こんな日差しの中部活とか...死ぬ...」
B「こぉら。サボりかぁ?全くだらしないんだから」
A「そうは言うけどマネージャーのお前と違ってこっちはあのアッツイ太陽のもと走り回ってるんだぞ」
B「はいはい。自分が好きで入った部活でしょ。文句言わないの」
A「そりゃそうだけどよ...マネージャとしてもう少し部員を労わってもいいんじゃないの?」
B「だめよ。あんたたちすぐサボろうとするんだから。しっかり見張ってないとね」
A「はいはい。そりゃご苦労なことで。なぁ何か飲み物もらえないか?」
B「スポーツドリンクと水どっちがいい?」
A「スポドリ頼むわ」
B「わかった。はい、どうぞ。味わって飲みなさいよ(笑)」
A「おう。ありがとう。(ゴクゴク)ぷはぁ。」
B「ベンチはベンチで熱いんだからね。(ゴクゴク)」
A「あっ...」
B「えっと...何見てるのよ?もしかして、お水の方がよかった?」
A「馬鹿。そんなんじゃねーよ」
B「だったら何見てたのよ?」
A「え...えっと...それは、ああそこ!あのカップル!手繋いで暑そうだな―って」
B「どれどれ。ほんとだ。あれは一年生だね。初々しいね。私にもあんな時期がありました」
A「たった一年前じゃねーか(笑)」
B「あれ?そうだっけ?あはは」
AB「あはははははは」
A「お前、一年前は、右も左もわからなくておろおろしてたよな(笑)」
B「あんただって、凄いきょどってたじゃん(笑)」
A「お互い若かったなぁ」
B「たった一年前でしょ(笑)」
A「あれ?そうだっけ?あはは」
AB「あはははははは」
A「さてと、そろそろ怒られるから練習戻るわ」
B「おう、行ってこい!」
A「何様だよ(笑)」
B「ふふん。マネージャー様だよ」
A「へいへい。そーでした(笑)」
B「ほぉら。行ってきな!」
A「おう。行ってくる。その...」
B「ん?なに?」
A「マネージャーがお前でよかったよ」
B「え?どういうこと?」
A「なんていうのかな?よくわかんないけど...」
B「よくわかんないけど?」
A「お前いつも一生懸命じゃん?そんな一生懸命なお前に『頑張れ』って言われると俺も一生懸命やんなきゃ!って思えてくるんだよな」
B「なにそれ(笑)」
A「だからよくわかんないって言っただろ(笑)」
B「私は、Aが一生懸命頑張ってる姿...かっこいいって思ってるよ」
A「え...それって...」
B「ほらほら!先生が呼んでるよ!」
A「やべ!じゃあ行ってくる!」
(Aグラウンドへ走っていく)
B「A!がんばれー!」
A ペットボトルの水を飲む君に見惚れたのも
B 一生懸命な君が輝いて見えるのも
AB 全部、夏のせいだ
END