冬の線香花火

作者:☼*.。 ひなた

男:○○ 女:■■


男「なぁ、■■」

女「何?〇〇君」

男「誕生日プレゼント...本当にこれでよかったのか?」

女「これって?」

男「いや...線香花火」

女「うん。だって私が『誕生日に線香花火がしたい』って言ったじゃん」

男「うん、そうなんだけど...」

女「冬にする線香花火、きれいじゃない?」

男「確かに、12月に線香花火したの初めてかも」

女「でしょ?私ね、線香花火好きなんだー」

男「そうなんだ。線香花火のどこが好きなの?」

女「んー暖かさと儚さかな」

男「儚さ?」

女「うん、線香花火の火花って燃え方で名前が変わるの知ってる?」

男「あ、なんか聞いたことある。5種類だっけ?」

女「そう。蕾(つぼみ)、牡丹(ぼたん)、松葉(まつば)、柳(やなぎ)、散り菊(ちりぎく)って名前が変わっていくの」

男「そうなんだ」

女「それぞれはほんの数秒しかないんだよ?けどちゃんと名前がある。なんか生きてるって感じがして、けどそれが儚くて好きなの」

男「そういう風に線香花火見たことなかった」

女「だからね、誕生日に線香花火が出来るの、本当にうれしいんだよ」

男「...なら、良かった...」

男「なぁ」

女「ん?」

男「俺で...良かったのか?」

女「え...何が?」

男「大切な誕生日に花火をする相手が、ってこと」

女「どういうこと?」

男「いやだってさ、■■にも好きな人とかいるだろ?そいつと一緒にしなくてよかったのかよ」

女「ふふ、〇〇君は鈍感だね」

男「え?」

女「いま私は、大切な誕生日に、好きな線香花火を、大好きな人と一緒にできてるよ」

男「あ...」

女「〇〇君、幸せな誕生日にしてくれてありがとう。大好きだよ」

男「■■...俺も...好きだ...」 

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