君とチョコレート
![](https://4591d25d56.cbaul-cdnwnd.com/72a087ab8f78835707cbcaac359b7912/200000140-8777d87780/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%AB%20%E5%90%9B%E3%81%A8%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88.jpeg?ph=4591d25d56)
作 かにみそ大将軍
「‥‥なかなか出ないな」
口の中に残る甘さをもう一度確かめながら繋がらない君を想う。
「あっ。やっと出た。何ですぐ出ないんだよ(笑)」
たっぷり5コール待たされてから繋がった君は、ごにょごにょと何か言っている。
「恥ずかしかったって?そりゃあ突然の事で吃驚したけど…でも嬉しかったよ」
今日はバレンタイン。君から貰ったチョコレートの空き箱を見つめる。
「チョコレートすごく美味しかった。ありがとう。あれって手作りなんだろ?」
電話の向こうの君から安堵の息が漏れる。あんな凄い物作れるのに失敗などあるのだろうか?
「お店の商品みたいだったよ。手作りって聞いていたけどちょっと疑っちゃったよ(笑)」
大げさに泣いたふりをする君はとても可愛かった。この時間がもっと続けばいいと思った。
「ごめんって(笑)。あのチョコレートはどうやって作ったの?材料は?」
君との会話を続けていたくて色々聞いてみる。
「そうなんだ。お菓子作りって結構大変なんだね…」
材料や作る工程を聞いて初めて大変さを知った。
「すごく嬉しい。ありがとう」
なんだがとても照れ臭かった。でもこれから言う事はもっと照れ臭い。
「その…告白の答えなんだけど…」
そう、君は告白と同時にチョコレートを渡してきてくれた。そして走り去ってしまった。
「僕も…君が好きだ。だから付き合って欲しい」
電話越しでも君が息を呑むのが伝わる。
「これから楽しい想い出を一緒に作っていこうね」
END