月夜の幸せ-Side Sotry-
約4分
作者:SASHIMI
夜道の月を見上げてふと思う
「君はいま、なにかを考えすぎていないだろうか」
君は少し考えすぎてしまう性格というのもあるし
この前会った時も 「人生うまくいかない」「幸せが足りない」
と頭を抱えていた
" 人間は希望なしでは生きられない "
と何かの歌詞にあったけれど本当にその通りで
僕も君や家族や今の日常生活では
足りない希望や何かを探している
月を見上げるために止めた足を
また進めながら僕は考える
君を幸せにするには
あとどれくらいの時間と努力が必要だろうか
僕にとって今大きな希望である君と
対等な大きさの希望に僕はなれないだろうか
君はいま、泣いていないだろうか
世界というものはとても残酷だ
21世紀になっているというのに
すぐ会いに行くためのドアは存在してくれないし
もしもが叶うボックスも存在しない
ネコ型ロボットが本当に存在するのは
あと何年先になるだろう
僕はため息を吐きながら君の通知を鳴らす
" 大好き"
きっと無駄に説得するより君が安心できる一言だ
僕は煙草を1本取りだして火をつける
こんな魔法の言葉があるのに世界が残酷なんて
きっと僕のわがままかもしれないけど
21世紀に期待して生まれた僕がいたから
結局世界は残酷に変わりないと思う
でもネコ型ロボットが頑張ったのは22世紀だから
来世に期待するしかないのかもしれない
煙草の煙を空に吐きながら言葉を零す
「22世紀はまた君と一緒に居れているかな」
そんなことを考えていると
いきなり電話が鳴り出し
考え事は消え去って顔が緩む
僕はワンコールもしないうちに電話を取ると
君が発した" 安心できる一言 "で
また顔が緩んだ
" 私も大好きだよ "