桜のような
約3分
作:SASHIMI
始業式が終わり地面に桜の花が咲いた。
恋が終わるのはいつも突然で僕の気持ちだけが置き去りになった。
「あなたのことが好きです」
校舎裏、先輩の驚いた表情と伝わってくるあの独特な空気。
知っている、先輩には忘れられない人がいること。
そして、その人がこの世にはもういないこと。先輩の忘れられない...大切な人。
『...ごめんね』
僕じゃ先輩を過去から助けられない。きっとその人に重ねて僕を見てしまうかもしれない先輩の優しさ。
『私、好きな人がいるんだ』
僕は泣きそうな顔を我慢して先輩の目を見た。
"恋はいつも突然、 僕の気持ちを置き去りに去っていく"
「知ってました」
先輩はまた驚いた顔をしたあと苦笑いをした。
散った桜の花びらが僕の周りを舞った。
今年も春が終わりを告げる。
『私を好きになってくれてありがとう』
先輩の見せる感情が僕のものであって欲しかったのは、もう内緒。
桜のような僕の初恋。