海に行きたいな

作:かにみそ大将軍

 
 男「あー暑いなー」

女「暑いねぇー」

男「六法全書もびっくりな厚さだねー」

女「そっちの厚さじゃないねー」

男「こう暑いとあれだね。えーと..」

女「なんだろ?」

男「あのーあれだよあれ。夏っぽいやつ」

女「かき氷」

男「違う」

女「スイカ!」

男「違う」

女「スイカ割り!」

男「さっきと同じ!」

女「同じじゃないよ」

男「実質同じだよ。夏と言ったら海だよ!」

女「海かー!いいね。でいつにする?」

男「え?何が?」

女「海行きたいんじゃないの?」

男「いや別に?」

女「嘘でしょ!こう暑いとで海出してきて行きたくないとか」

男「いやー。そもそも海にいい思い出ないんだよね」

女「海月に刺されたとか?」

男「いや?」

女「足つって溺れたとか?」

男「そんなことはないな」

女「えぇ~じゃあ何があったのよ」

男「何も無い」

女「え?」

男「だから、何も無いんだ」

女「いやさっきいい思い出ないって」

男「言ったね。そもそも行った事すら無い」

女「いい思い出ないって言うのは行ったやつの台詞なんよ」

男「行った事ないから!」

女「どうした急に」

男「いい思い出も悪い思い出も無い!」

女「うん、そうだね」

男「何故なら行った事無いから!」

女「わかったって。それで行くの?」

男「行かない!」

女「なんでよ!行く流れだったでしょ!」

男「だって」

女「だって?」

男「面倒臭い!」

女「面倒臭いって車で1時間かけたら行けるでしょ!寧ろよく今まで行かなかったね!」

男「だって海って何するの?」

女「普通に泳いだり、砂浜で遊んだり」

男「それ一人でやってて虚しくならないの?」

女「なんで一人設定なんだよ!普通、友達とかと行くだろ!」

男「おい!」

女「何よ急に大きな声出して」

男「言っていい事と悪い事があるぞ」

女「悪い事なんて言ってないでしょ」

男「普通友達と行くと言ったな」

女「あっもしかして友達いないとか」

男「全くもって同意だな。今のは言っていい事だったぞ」

女「なら止めんなし!じゃあ今度の日曜日に海行くよ」

男「え~」

女「え~じゃないの。もう決定なの。海の楽しさ教えてあげる」

男「ドッキーん。やだ...男前。私わからせられちゃんだ」

女「なに気持ち悪い事言ってるのよ。ふふふ、海の楽しさを目いっぱい味わって海から帰れなくしてやる」

男「望む所だ!」

女「望むなよ。帰れなくなっちゃってるだろ」

男「お前が言ったんじゃないか」

女「とにかく、楽しみにしてなさい」

男「ところでさ」

女「なに?」

男「どうやって行くの?もしかして」

女「あんた車出してよ」

男「なんて強引なやつなんだ。だが嫌いじゃない」

女「ガソリン代は半分持つからさ。それに」

男「それに?」

女「私の水着が拝めるんだから文句言わないの」

男「ありがとうございます!写真を撮るのと同時に脳内フォルダに8Kで保存しまくらせていただきます! 」

女「...気持ち悪い」


 


女「やっと着いたー!」

男「横で爆睡してただけの奴がよく言うよ」

女「なにか言った?」

男「いえ、何も。それにしても」

男女「人多!」

男「皆考える事は一緒なんだね」

女「仕方ないね。という訳でボディーガード任せるからね」

男「は?なんで俺がそんな事」

女「だって私可愛いし、男達が寄って来ちゃう」

男「あのな、自慢じゃ無いが見ろこのヒョロヒョロボディーを!寧ろこっちが守って貰いたいくらいだ!」

女「ほんとに自慢じゃないし、情けないことを大きな声で言わないでよ」

男「それにだな」

女「それに?」

男「特殊な性癖な持ち主なら対処できん」

女「どんな状況よそれ」
 

ナンパ(男声変え)「Yo!Yo!ねーちゃん俺と遊ぼうぜ」

男「やめろ!彼女困ってるじゃないか」

ナンパ「あん?なんだお前?この女の何なんだよ?」

男「お、俺は彼氏だ!」

ナンパ「なんだと、じゃあこいつは人のものって事だな」

男「そうだ。だから大人しく手をひけ」

ナンパ「じゃあ俺の女にしたら寝取りという訳だな。萌えるな!」

男「なに!ならば俺は寝取られとなるわけか。くっ抗えない!どうぞ」


女「どうぞじゃない!」

男「な?」

女「な?じゃねーわ。何勝手に私差し出してんのよ!」

男「すまない。性癖にはどうしても抗えない」

女「なにカッコつけてるのよ!もういいから泳ぎにいくよ」

男「え?この人混みの中にいくの...はぁ仕方ないか」



女「ふぅー。沢山泳いで疲れたー」

男「流石にどこかで休みたいな」

女「じゃあ、あそこの海の家に行こうよ」

男「あんなボロボロな所、大丈夫なのか?」

女「海の家っていうのは大体ボロボロなのよ」

男「謝れ!全国の海の家を経営してる人に謝れ!」

女「馬鹿なこと言ってないで行くよ」
 


男「何この焼きそば。すっごいモソモソしてる」

女「海の家と言ったらこのモソモソしてる焼きそばがいいんじゃない」

男「フランクフルトもなんか...しなしなしてるし」

女「こんなもんよ?」

男「そして相場より高い」

女「こういうのは雰囲気を味わうものなのよ」

男「そうなのか...」



女「すっかり夕方になったわね」

男「あぁ。初めて来たけど衝撃的な事ばかりだったよ」

女「たまにはこういうのもいいんじゃない?夕日もすごく綺麗。ねぇ...」

男「なんだ?」

女「その...良かったら...また一緒に来ようよ」



男「やだ。こんな辛い思いするならクーラー効いた部屋でまったりしてる方がいい」

女「ぜってぇ来年もこさせてやる」


END

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