画面の向こうが眩しすぎる夜に

約 分
作 藍沢ひなた
手のひらの中にある世界は、いつだって眩しすぎて。
誰かの成功、誰かの幸せ、
きれいに切り取られた「ハイライト」ばかりが
光の洪水みたいに押し寄せてくる。
それを見ている私の部屋だけが、
ひどく暗くて、
色のない場所のように思えてしまう。
「すごいなぁ」と思う反面、 チクリと胸が痛むのは、
きっと、自分が置いていかれている気がするからだ。
でも、ふと冷静になって思う。
あの四角い画面の中にあるのは、編集された「正解」だけなのだと。
その裏側にあるはずの、迷いや、ため息や、地味な時間は、
決して映し出されることはない。
それなのに私は、
自分の「ありのままの日常」と、
誰かの「よそ行きの瞬間」を、
勝手に並べて、勝手に落ち込んでいる。
そんな不公平な比較で、自分を傷つける必要なんてなかった。
だから、他人の光が眩しくて辛いときは、
そっと画面を伏せることにした。
情報の川から上がって、静かな岸辺で休むように。
私は、輝かなくていい。発光なんてしなくていい。
ただの、マットな質感の私のままで、今日を静かに終えられれば、
それで十分だ。
END

