Fomalhaut

約     分
作 かにみそ大将軍
 
 

涼しい風が頬を撫でる。

煙草に火を点け、ふと夜空を見てみる。

さほど高くない位置に、一際光る星があった。

なるほど。涼しい訳だ。

その星は、たった一人で輝いていた。

まるで君の様に。

孤高で気高く。

そして寂しく。

その星を掴もうと手を伸ばす。

手を伸ばしてみるが掴めない。

自分が吐いた煙で星を消してみる。

が、そんな事をしても消える訳もなく。

星は輝き続ける。

これからもその星は、そこに在り続けるだろう。

そして僕も、きっと手を伸ばし続けるだろう。

届かないと。掴めないと。

分かっていても。


END

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